社会保険に関するWeb記事の更新状況を調査。項目によっては法改正に対応できていない記事が6割
昨今では多くの企業がオウンドメディアをはじめ、さまざまな情報発信を行っています。
企業の持つ専門的な情報が参考になることもありますが、一方で頻繁に行われる法改正などの情報は、どこまで反映されているのでしょうか。
例えば、社会保険に関する制度は、国民年金の支給額のように毎年変更されるものがあったり、頻繁に制度改正が行われていたりと、常に更新しなければなりません。
記事は作って終わりではありません。記事の更新(リライト)が必要です。
そこでダンクでは、近年改正された以下3つの項目が更新されているか、企業が情報発信を行うWebサイトの記事(計359件)を対象に調査を実施しました。
該当するキーワードで検索して、対象記事を地道に目視で調査しています。
調査項目
- 出産育児一時金の支給額 (令和5年4月1日施行)
- 有期雇用労働者の育児休業取得条件の緩和 (令和4年4月1日施行)
- 国民年金支給繰り下げ期間の延長 (令和4年4月1日施行)
調査の結果、項目によっては6割の記事が情報更新できていない…という驚きの結果もでています。
項目ごとに解説します。
本調査の結果を資料にまとめています。個人情報の入力なしでダウンロードできますので、以下をクリックしてください。
>「社会保険関連記事の更新状況調査2023」ダウンロード
調査① 出産育児一時金の支給額
変更点
令和5年4月1日施工
- 出産時に健康保険・国民健康保険より支給される出産育児一時金の支給額が42万円から50万円に増額
- 産科医療補償制度未加入の医療機関での出産等の場合40.8万円から48.8万円に増額
調査期間
令和5年11月 (対象記事159件)
調査結果
正しく情報を更新している記事・・・39%(62/159件)
調査対象の中では、以下のような記事・分野が多く見られました。
- 産婦人科病院の出産費用の説明ページ
- 派遣会社や求人サイトにおける働き方に関する記事
- 保険ショップや金融系のサイトにおいてライフプランに関わる記事
病院のサイトでは、直接的な金額に関わるため更新されていることが多いですが、病院以外のサイトでは更新率は概ね4割を切っています。
古い情報よりも多い金額が支給されるため、直接的な不便を被る場合は少ないかもしれませんが、読者に混乱を与えないためにも更新しておく方が親切です。
調査② 有期雇用労働者の育児休業取得条件の緩和
変更点
令和4年4月1日施行
- 有期雇用者が育児休暇を取得するためには「1年以上同一の事業主に雇用されていること」が必要とされていたが令和4年4月に撤廃
※これにより、有期雇用労働者の方でも育児休暇が取得しやすくなった。一方で労使協定において上記の条件を満たさない場合、育休取得の対象から除外する旨を定めている場合は、これまで同様対象外とすることもできる
調査期間
令和5年11月 (対象記事100件)
調査結果
正しく情報を更新している記事・・・37%(37/100件)
調査対象の8割が総合的な情報サイトと派遣会社・求人会社でした。
出産・育児のライフステージにある方にとっては働き方に直結するため、派遣会社、求人会社の記事が多いことが特徴です。
更新されている割合は低く、4割を切っています。自社のサービスへの誘導にも関連が深い内容のため、速やかに更新しておく方がよいでしょう。
また、一部の記事では、労使協定の締結による対象外扱いの記述が、一般的なものと誤認されるような書き方がありました。
例えば、派遣会社の場合、自社に関しては労使協定を結んでいるため、「雇用から1年未満の有期労働契約者は除外する」との記載は間違いではありませんが、自社に関しての記載である旨を表記しないと一般論と誤解されてしまいます。
読者にとって親切な表現とは言えないでしょう。
ダンクでは専門家監修サービスを提供しています。制作・編集のプロのダンクと、さまざまな分野の専門家がタッグを組んで監修作業に当たります。
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調査③ 国民年金支給繰り下げ期間の延長
変更点
令和4年4月1日施行
- 国民年金の受給開始の繰り下げ可能期間を70歳から2022年より75歳まで延長
※これにより、一般的な繰り下げ可能期間は5年間から10年になり、年金給付額の増額割合は最大で42%から84%へ増加
調査期間
令和5年11月 (対象記事100件)
調査結果
正しい情報に更新している記事・・・75%(75/100件)
調査対象の中では、総合的な情報サイトの他に、銀行・金融会社、保険会社・保険ショップなどが多く見られました。
税理士やFP、公認会計士の事務所なども検索結果に登場しています。
年金という、一定の年齢以上すべての方に関係する内容であることから、更新率は高くなっています。
また、商品やサービスの説明に直接影響することも更新率の高さに関連していると推測されます。
専門的な情報は定期的なメンテンナスが不可欠
項目によっては6割以上の記事が情報を更新していない、という結果がでました。
なぜ、このように更新率が低いのでしょうか。
更新されていない記事の更新日に注目すると、法改正以前の更新日でそのまま更新がされていないケースと、更新日は法改正以後にも関わらず変更が反映されていないケースが見られます。
この結果から更新されていない記事は、以下のような状況にあると推測されます。
- 法改正は理解しているが、リソース不足で更新できない
- サイトの記事数が多すぎて、どこまで反映すべきか整理できていない
- そもそも法改正に気づいていない(法規則の知識が不足)
この状況を改善するには、やはり専門家の監修を入れて、掲載内容に不備がないか定期的にチェックすることが重要と考えます。
特に記事数の多いオウンドメディアの運営では、メンテナンスも含めた運用設計をしておかないと、中長期的に読者に誤った情報を届けてしまう可能性があります。
ダンクでは、記事メンテナンスに対応した専門家監修サービスを提供しています。法改正があった際に、アラート(記事更新の必要性)を発信することも可能です。
専門家監修でお困りでしたら、お気軽にダンクにご相談ください。
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本記事の調査結果を資料にまとめています。個人情報の入力なしでダウンロードできますので、以下をクリックしてください。
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この記事の監修者
- 2007年ダンク入社後、大手流通チラシの校正業務を担当。その後、大型カタログや金融商品等、さまざまな校正・校閲業務に携わる。
現在は編集・校閲グループリーダーとして、編集・校正業務はもちろん、クライアント対応やスタッフ育成、社内外に向けた校正ノウハウの発信にも注力する。
2024年からは宣伝会議の「校正・校閲力養成講座」講師を担当。
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