表記ゆれをチェックする方法を校正会社が解説【おすすめの校正ツールも紹介】
表記ゆれは、誤字脱字などの事実関係の誤りと違って、大きな問題にならないことが多いです。
なぜなら、表記がゆれていても作り手側の意図はおおむね読者に伝わるから。
わざわざ表記ゆれについてクレームをつける人もいませんよね。
(もちろん、人名や企業名の表記がゆれているとクレームになりますが…)
ですが、表記ゆれがあることで「なんか読みにくい」「なんか信用できない」、場合によっては「読者の誤解を招く」といった事態がおこります。
自分達は気がつかないところで、読者からの評価を下げている可能性があるのです。
ダンクは約30年、企業とユーザーをつなぐ販促媒体の校正に関わってきました。
その時間は表記ゆれと格闘してきた歴史でもあります。
この記事では、ダンクが実践してきた「表記ゆれを減らす方法」を紹介します。
<対象となる制作物>
- 商品案内やガイドブックなどのパンフレット
- 商品やサービスを掲載するカタログ
- 案内や告知などのチラシ・フライヤー
- WEBサイトの記事など
「ミスが減らない」「内容をチェックする時間がない」でお困りの企業さまは、ダンクの校正・校閲サービスをご活用ください。
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表記ゆれチェックはデジタルツールと目視の併用
表記ゆれを減らすには、デジタルツールと目視を併用するのがおススメです。
- デジタルツールで表記ゆれをチェックする
表記リストを用意してデジタルツールでチェック。確実で早い方法です。 - 目視で表記ゆれをチェックする
デジタルツールだけでは不十分。人間の目(目視)でチェックしてヌケモレを拾います。
それぞれのポイントを解説します。
ダンクの校正ノウハウをまとめたマニュアルを無料提供しています。
詳細な校正テクニックを学びたい方は、以下からダウンロードしてください。
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デジタルツールで表記ゆれをチェックする
そもそも表記ゆれが起きないように制作できれば最善ですが、なかなかそうもいきません。
人間がやることですから必ずモレは発生します。
例えば、「お問い合わせ」か「お問合せ」か。
単純な送り仮名の違いや用語の統一は、デジタルツールに頼った方が早くて正確です。
事前に表記リストを用意する
ただし、デジタルツールを使う場合は、事前に表記リスト(表記ルール)を用意した方がいいでしょう。
表記がゆれている箇所を自動で抽出するツール(Microsoft Wordなど)もありますが、今のところ高い精度は期待できません。
加えて、表記がゆれていたとしても情報として正しければ「ゆれ」として検知しません。
例えば「高さ180cm」という表記。高さを表すにも、さまざまな表記があります。
- 高さ1800mm
- H180cm
- 幅180cm(起点によって幅表示になる)
この表記はどれも誤りではないので、デジタルツールも指摘してくれません。
まずは自社の表記リスト(ルール)作りから始めましょう。
表記リストさえあれば、どの表記に統一すればいいのか迷うことがなくります。
ルールが多岐にわたる場合やどの表記に統一すればいいか悩む場合は、共同通信社の「記者ハンドブック」が便利です。
記者ハンドブックは、報道機関だけではなく、さまざまな業種・媒体で一般的な表記の基準として広まっています。
自社独自の表記ルールがなく、リスト作りに困った場合は、記者ハンドブックに準じておくのが無難です。
表記リスト作りに不安があるという場合は、ダンクにご相談ください。校正はもちろん、リスト作成の代行サービスも承っています。
校正を体系的に学びたい方は以下の記事を参照してください
あわせて読みたい
デジタルツールでチェックする
表記リストができたら、リストの登録機能(辞書登録機能)が実装されたデジタルツールでチェックします。
数は多くありませんが、独自の表記リストを無料で登録できるツールもあります。WEB検索などで探してみてください。
以下の記事では、文章校正ツールの紹介をしています。
無料の辞書登録機能があるツールも紹介していますので、参考にしてください。
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ダンクのオススメ「JustRight!」
ダンクが表記ゆれのチェックで使用しているのがJustRight!(株式会社ジャストシステム)です。
有料にはなりますが、細かい表記のチェックができるほか、文章校正の機能もあるのでオススメです。
JustRight!の便利な機能
- エクセルなどで管理している表記リストを一括登録することができる
※校正用辞書にカスタマイズする必要あり - 前述した記者ハンドブックの表記ルールに準拠している(オプション)
- 誤字脱字や誤用、不適切な文章表現などのチェックもしてくれる
校正会社のダンクとしては、最強の校正ツールとも言えますが、ちょっとした表記ゆれのチェックくらいならオーバースペックかもしれません。
ダンクが取引しているお客さまだと、専門用語や業界用語が多い金融系の企業で導入していることが多いです。
ただし、ひとつ注意点も。
自社で管理している表記リストを、JustRight!の校正用辞書にカスタマイズするのがちょっと面倒だったりします。
NG例を登録するので、ひとつの単語に対して5~6種の登録が必要です。
慣れないと最初は戸惑うかもしれません。
ダンクでは、JustRight!の辞書登録と運用支援のサービスも行っています。JustRight!の運用にお困りの方はダンクにご相談ください。
目視で表記ゆれをチェックする
デジタルツールでチェックすることで、表記ゆれはある程度防ぐことができます。
ですが、100%防げるとは言い切れません。
表記リストから漏れてしまう単語が必ず存在するからです。
例えば、「支払い」の送り仮名「い」。
表記リストは「支払い」だとしても、「支払明細」と2語が組み合わさった場合は「い」は必要でしょうか?
もし、実物の支払明細に「い」がなければ、実物に合わせるのが普通ですよね。
このようなイレギュラーなケースはよく起こります。
ダンクでは、表記リストから漏れる単語をチェックする意味でも、人間の目(目視)でのチェックを必ず行います。
よくある表記ゆれを意識する
しかし、何となく目視でチェックしても、なかなか表記ゆれに気がつきません。
ある程度経験を積んでいくと、表記がゆれやすい単語を見ると「この単語大丈夫かな?」とアンテナが立つようになります。
ですが、これは経験値がものをいいます。
ダンクのように、校正を生業としている会社だからできるのかもしれません。
ほんの一部ですが、以下に表記がゆれやすい単語を紹介します。
何も知らずに目視でチェックするよりも、気づく範囲は広がると思います。
よくある表記ゆれの例
<漢字とひらがなの不統一>
・さまざま、様々
・など、等
・こと、事
・さま、様 (特に、お客様/お客さま)
<送り仮名の有無>
・問い合わせ、問合せ
・申し込み、申込み
・組み合わせ、組合せ
<表現の違い>
・~カ月、~ヵ月、~か月
・こども、子ども、子供
・仕事、業務、作業 (似た単語の使い分けが明確でない場合)
<固有名詞>
・(単位)ml、mℓ、ミリリットル、㎖
・(人名、会社名など)齋藤、斎藤 高島屋、髙島屋
これらの単語を、うっすらとでも頭の片隅に置きつつ素読みをします。
そして、「なんか怪しいなー」と思う単語がでてきたら自分だけがわかる印をつけておきましょう。
- マーカーで塗っておく
- 鉛筆で○しておく(後で消せるように)
- 手元のメモに書き留める
方法はどれでも構いません。
一通り読み終わった後に、印をつけた表記にゆれがないか全体を確認してみてください。
その都度確認するより効率的ですし、印をつけたことでチェックモレの予防になります。
修正が入ると危険「Aが変わればBも変わる」
制作の途中で修正を加えると、表記ゆれが発生しやすくなります。
「Aには指示があるけど、Bの指示がモレている」といったことが頻繁に起こるからです。
例えば、青をブルーに変更したい場合。
「右の白色はホワイトと表記しているのでカタカナに統一したい」という指示です。
ですが、修正してみると
写真のキャプションは<青>が残ったままになりました。
修正指示のモレによる表記ゆれが発生した例です。
修正する場合は、同一の内容に対して、すべて同じ変更を加える必要があります。
他にもこんな落とし穴がよくあります。
- スペックとキャッチコピーのゆれ
- 目次とページタイトル
どこか(A)を変更したら、必ずどこか(B)に影響がでます。
Aが変わればBも変わる!
ダンクでは、これが合言葉です。
Aを変更するとき、影響がでるBがないか常にアンテナを立てましょう。
意識することで表記ゆれに気づくことができます。
まとめ
今回は、表記ゆれをチェックする2つの方法を紹介しました。
- デジタルツールで表記ゆれをチェックする
- 目視で表記ゆれをチェックする
ダンクのオススメは、デジタルツールと目視によるハイブリッド型です。
どちらかだけに頼ると、すべての表記ゆれを防ぐのは難しいです。
この記事で紹介したことをすべて実践する必要はありません。
貴社でできる範囲で、ちょっと工夫を加えてみてください。
確実に表記ゆれを減らすことができると思います。
ダンクでは、さまざまな業界・媒体の校正・校閲業務を請け負っています。
自社でチェックするのは自信がない…と感じている方は、ダンクの校正・校閲サービスをご利用ください。
\「まちがい」を無くしたい方へ/
この記事の監修者
- 2007年ダンク入社後、大手流通チラシの校正業務を担当。その後、大型カタログや金融商品等、さまざまな校正・校閲業務に携わる。
現在は編集・校閲グループリーダーとして、編集・校正業務はもちろん、クライアント対応やスタッフ育成、社内外に向けた校正ノウハウの発信にも注力する。
2024年からは宣伝会議の「校正・校閲力養成講座」講師を担当。
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