広告の成果は「ターゲット」と「メッセージ」で決まる【広告物を作る前にやるべきこと】

この記事の対象
この記事は、チラシなどの広告物を自分で作成している販促・企画担当、レビュー担当の方向けに、ターゲットとメッセージの作り方を解説したものです。
チラシやDMなどの広告を作るうえで、ターゲットとメッセージの設定は重要です。
ターゲットとメッセージと言われても、「なんかピンとこない…」と思う人もいるかも知れません。
ですが、広告が思った効果をだせない原因の多くが、ターゲットとメッセージがズレている、または何も決めていない、というケースです。
この記事では、広告作成の指針となるターゲットとメッセージの決め方を解説しています。
なぜターゲットとメッセージが重要なのか、事例を交えて解説します。
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チラシ制作の基本から知りたい方向けに、パワポでチラシを作るノウハウをひとつの記事にまとめました。合わせて読んでみてください。
- 1. なぜ「ターゲット」と「メッセージ」が重要なのか
- 2. ターゲットとメッセージの決め方
- 2.1. ターゲットを絞る
- 2.1.1. 基本属性を決める
- 2.1.2. ターゲットの層を決める
- 2.2. メッセージを絞る
- 2.2.1. とにかく書き出す
- 2.2.2. メインメッセージを決める
- 3. サンプルで解説
- 3.1. 【サンプルで解説】ターゲットを絞る
- 3.1.1. 基本属性を決める
- 3.1.2. ターゲットの層を決める
- 3.2. 【サンプルで解説】メッセージを絞る
- 3.2.1. メインメッセージを決める(そもそも補助金の存在を知らない)
- 3.2.2. メインメッセージを決める(補助金は知っているが、何かしらの理由で申請を諦めた)
- 4. まとめ
なぜ「ターゲット」と「メッセージ」が重要なのか
以前、ある公共団体さまからこんな相談を受けました。
「地域住民向けに生活相談センターを開設したが、利用率が低いので改善したい。その対策として作った周知用チラシをチェックして欲しい」というもの。
チラシを見てみると、掲載メッセージは以下のようなものでした。
- 相談センターが新しく開設した
- 地域住民向けのサービス
- 相談料は無料

んー、このメッセージで伝わるのかなぁ…
相談センターを利用して欲しいのはわかりますが、住民が知りたいことは相談センターが新設されたことでしょうか?
住民が知りたいのは、きっとこんな内容だと思います。
- どんな内容の相談を受け付けているのか
- 自分の悩みをどうやって解決してくれるのか
相談センターに関する情報も必要ですが、今まさにトラブルで悩んでいる人の関心ごとは「自分の悩みを解決してくれるのか」のはずです。
相談センターもあくまで手段にすぎません。目的は課題解決です。
メッセージがズレてしまっては、期待する効果は得られません。
ではなぜ、このようにメッセージがズレてしまうのか?
原因は、「自分が伝えたいこと」を優先しているから。
自分が伝えたいことと読者が知りたいことは違うことが多いのです。
そうならないために「ターゲット」の解像度を上げる必要があります。
「ターゲット」の解像度を上げれば、読者に響く「メッセージ」を作ることができます。
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ターゲットとメッセージの決め方
では、ターゲットとメッセージはどうやって決めればいいのか?
ベストな方法は顧客へ直接アンケートしたり、ヒアリングしたりすることですが、毎回やるには時間的・コスト的に難しいと思います。
ですので、まずは仮説を立てて進めるしかありません。これから紹介する方法を、社内ディスカッション形式で複数人で取り組んでみてください。
ターゲットを絞る
ただぼんやりと考えてもターゲットは絞れません。
まずはターゲットの「基本属性」を特定して、その後に「興味・関心」でターゲットの層を決めていきます。
基本属性を決める
客観的データをベースに、ターゲットの基本項目を決めます。例えば、以下のような項目。
主な基本属性
・年齢 ・性別 ・居住地 ・職業 ・所得 ・家族構成
重要なのは、できるだけ詳細に基本属性を設定すること。
ターゲットの顔が思い浮かぶくらいのイメージを持っておきましょう。
例えば、キャッチコピーを書く段階になったとき、その個人へ向けて書くようにするとリアリティーのあるコピーが書けます。
逆にイメージがぼんやりしていると、汎用的で誰に向けたコピーかあいまいになってしまいます。
ターゲットの層を決める
次に、基本属性で特定したターゲット像は、対象の商品・サービスに対してどのくらい興味・関心があるのか仮設を立てます。
例として以下のような項目で考えます(〇〇は貴社の商品・サービスを当てはめてください)。
- 〇〇に興味がある/〇〇に興味がない
- 〇〇を知っている/〇〇を知らない
- 〇〇を使ったことがある/〇〇を使ったことがない
「興味・関心」を深掘りする意味は、ターゲットの購買意欲がどの段階にあるかを測るためです。
「今すぐにでも欲しい・利用したい」と思っているのか、「興味はあるけど今すぐ必要なわけではない」なのか、どの層に属しているかを特定します。
大きく以下3つ程度に分類しておきましょう。
- (今すぐ欲しい!)その商品・サービスがすぐに欲しい
- (どうしようか悩み中)興味はあるけど、買うかどうか悩んでいる
- (今すぐはいらない)悩みは持っているけど、すぐに購入しようとは思わない
これまでの顧客データや社内情報などを元に「興味・関心」度合いを決めていきます。
この層を決めておかないと、読者に刺さらないメッセージを作ってしまいます。
例えば、今すぐ買う気のない層に対して「今なら10%割引」などのキャンペーンをアピールしても、そもそも購入する気がないので響きません。
逆に「今すぐ欲しい!」と思っている層に対して、商品・サービスのメリットをアピールしすぎても「もう知っているよ…」となるだけです。
ターゲットの購買意欲がどの階層にあるかで、メッセージは変わります。
メッセージを絞る
次にメッセージを考えます。
「メッセージ」とは、チラシで伝えたい訴求ポイント、読み手にとってのメリット・ベネフィットを決める作業です。
自分たちが言いたいことをメッセージに置いても効果はありません。
答えは相手の中にあります。
ターゲットは「何を知りたいのか」「何に心が動くか」を想像します。
とにかく書き出す
まずはターゲットが置かれた状況をイメージして、どんなメッセージを伝えれば効果的か書き出していきましょう。
手書きでもテキスト入力でも構いません。自由に書いてみてください。
- ターゲットがメリットだと感じるポイントは何か
- ターゲットがリスクと感じて、行動に移せない理由は何か
(何のリスクを解消すれば行動に移してもらえるか)
書き出す内容は、きっとひとつではないと思います。思いつく限り書きだしましょう。
頭の中のぼんやりしたイメージを言語化していくと、伝えたい内容が整理されていく感覚を得られるはずです。
メインメッセージを決める
メッセージを書き出したら、その中から1つか2つ(できれば1つ)に絞ります。

せっかく書き出したのに絞らなきゃいけないの?
そう思うかもしれません。
メッセージの軸が複数あると、何を伝えようとしているのか読者は理解しづらくなります。
結局なんの商品・サービスなのかよくわからない…なんてこともあり得ます。
読者の心に刺さる、絞り込んだメッセージを届けましょう。
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サンプルで解説
ターゲットとメッセージを決める考え方をお伝えました。
考え方だけではわかりづらいと思うので、サンプルを使って解説します。
「とある商工会が持続化補助金セミナーを開催するにあたり、セミナーチラシを作成する」
という設定で考えてみます。企画の主旨は以下のとおり。
持続化補助金セミナーの主旨
コロナ禍で経営状況の厳しい会員企業を応援したい。
最近、比較的ハードルの低い補助金が新設されたが、活用しない企業が多いので利用率を上げたい。
この企画主旨に沿って、ターゲットとメッセージを考えてみます。
【サンプルで解説】ターゲットを絞る
基本属性を決める
まずはターゲットの基本属性を設定します。
このケースは、企業向け(toB向け)になるので設定項目は以下のようにしました。
(前述した「基本属性」は個人向け(toC向け))
【基本属性】
- 役職 事業課長・部長(決済権のある立場)
- 性別 男女とも対象
- 業種 製造業・サービス業
- 企業規模 中小企業
- 所在地 全国(会員企業は全国に存在)
具体的にターゲットの人物像をイメージしましょう。
ターゲットの層を決める
次に「興味・関心」でターゲットの層を設定します。
このサンプルでは、以下の情報がある前提で考えてみます。
- 補助金の申請数はまだ少ない
- 前回の説明会では出席者は少なかった
- Webサイトに告知ページを公開しているが閲覧数(PV)は少ない
このような状況であれば、
そもそも補助金の存在を知らない
層がターゲットとなります。
補助金の存在を知らせるプロモーションが足りていなかったかも知れませんね。
ただし、以下のような状況であれば、ターゲット層は変わってきます。
- 補助金の申請数はまだ少ない
- 前回の説明会では出席者は多かった
- Webサイトの告知ページの閲覧数(PV)は多い
説明会出席者や閲覧数が多いのに関わらず申請数が少ないのであれば、
補助金は知っているが、何かしらの理由で申請を諦めた
という層がターゲットになると仮設を立てられます。
【サンプルで解説】メッセージを絞る
先ほど導きだした2つのターゲット層に対して、どのようにメッセージを決めるか解説します。
- そもそも補助金の存在を知らない
- 補助金は知っているが、何かしらの理由で申請を諦めた
ターゲット層が変わればメッセージも変わる、ということがわかると思います。
メインメッセージを決める(そもそも補助金の存在を知らない)
この層はそもそも補助金を知りません。どんなメッセージを伝えればターゲットが興味を持つか書き出していきます。
- ハードルの低い補助金が新設された
- 補助金の基本からわかりやすく解説するセミナーを開催する
- 申請が通れば●●万円の補助が受けられる
- はじめての方でも安心できるように相談窓口を開設している
そもそも補助金の存在を知らないわけですから、補助金の基本的な内容を、わかりやすく伝えることに特化した方がいいでしょう。
ですので、
- 補助金の基本からわかりやすく解説するセミナーを開催する
- 申請が通れば●●万円の補助が受けられる
の2点にしぼってメインメッセージを考えてみました。
<メインメッセージ>
【はじめて補助金申請をする企業さま向け】
「補助金の基本」からわかりやすく解説するセミナー開催
簡単な手続きで●●万円の補助が受けられる!
メインメッセージを決める(補助金は知っているが、何かしらの理由で申請を諦めた)
この場合は、補助金の存在は知っているが何かしらの理由で諦めています。
なぜ諦めたのかを軸に、何を伝えるべきか書き出してみます。
- 申請が面倒で諦めた →申請を楽に通すコツをセミナーで解説
- 申請が通る気がしないので諦めた →申請書の書き方マニュアルを無料で提供
- 詳しい人がいないので諦めた →無料の相談窓口を開設した
- 自社は該当しそうにないので諦めた →どんな会社が補助金を受けたか実績を紹介
さまざまな理由が考えられますが、申請の面倒さ・難しさが障壁になっていたと仮説を立ててみます。
- 申請を楽に通すコツをセミナーで解説
- 申請書の書き方マニュアルを無料で提供
この2つに絞ってメインメッセージを考えてみます。
<メインメッセージ>
【補助金を諦めた企業さま向け】
採択率がアップする申請書の書き方を徹底解説
参加者には申請書書き方マニュアルを進呈!
いかがですか。
ターゲットが変わればメインメッセージも変わることがわかると思います。
ここで紹介したのは、あくまでサンプルを使った一例です。
背景、条件などで変わってきますので、貴社の状況に合わせて実践してみてください。
まとめ
ターゲットとメインメッセージの決め方を解説しました。
- ターゲット
情報を届けたい相手は誰なのか - メッセージ
そのターゲットに何を伝えたら期待する行動を起こしてもらえるのか
最後に繰り返しになりますが、複数人で意見を持ち寄って実施してみてください。
1人で考えると間違った結果を導き出したり、内容に行き詰まったりします。
他の人と意見を交わすことで自分ひとりでは発想できなかったことが見えてくるはずです。
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この記事の監修者

- 文書改善コンサルタント
- 1998年株式会社ダンク入社。
チラシやパンフレットの校正・校閲、ディレクションを担当したのち、現在は「わかりやすさ」を追究した文書改善専門家としてコンサルタントを務める。文書作成力向上研修講師。
・テクニカルライティング 3級
・二級 知的財産管理技能士
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