【おすすめAIツールも紹介】ファクトチェックのやり方を校閲会社が解説


この情報、本当に合ってるのかな…?
自社で制作した記事などのコンテンツに、そんな不安を感じていませんか?
いくらしっかりチェックしたつもりでも、事実関係の間違いに不安は残りますよね。
そもそも、ファクトチェックと一口に言っても、法的な根拠から歴史的事実、日付や人名など見るべきポイントは多岐に渡ります。
時間も手間もかかる、本当に骨の折れる作業です。
この記事では、校閲会社であるダンクが、自分でできるファクトチェックのポイントを解説します。
おすすめの無料AIツールも紹介していますので、効率的にファクトチェックを行いたい方はぜひ参考にしてください。
<対象となる制作物>
- Webメディアなどの記事
- 商品案内やガイドブックなどのパンフレット
- プレゼンやセミナーなどの資料
校正・校閲やデザイン制作など、制作まわりの外部委託をお考えの方は、以下の資料をご一読ください。
ダンクが提供するサービスの事例や参考料金を紹介しています。
ファクトチェックの範囲
全体をやみくもにチェックして情報源(ソース)を調べていては、時間がかかるばかりで正直しんどいです。
まずはファクトのミスが起こりやすいポイントを、何となくでも頭に入れておきましょう。
ある程度事前に把握しておけば、作業の効率化とチェック箇所の見落とし防止を期待できます。
チェックポイントは大きく以下の2つ。
- 事実関係の誤り
- 文章の誤り
「事実関係の誤り」のチェックが、ファクトチェックのメイン作業ですが、「文章の誤り」も軽視はできません。
文章が間違っていたために信用を落とす…なんてこともありえます。
それぞれ解説していきます。
校正を体系的に学びたい方は以下の記事を参考にしてください
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事実関係の誤り
法令や制度、歴史的背景など、事実と異なる箇所がないかチェックしていきます。
主に以下のような項目です。
➡表はスクロールできます
項目 | 内容 |
---|---|
法律・法令など | ・法令名・条文の引用は正確か ・制度や支援策の内容は最新か(古い情報をそのまま掲載していないか) |
固有名詞・数値 | ・人名・肩書・所属名は正確か(公職者、専門家、著名人) ・企業名、団体名、商品名、登録商標に誤りはないか ・行政区分、地名などに誤りはないか ・数値の根拠が明記されているか(統計・調査などに基づいているか) |
歴史的事実 | ・歴史的な人物・名称、出来事などに誤りはないか ・時系列に間違いはないか(出来事の順番) |
不適切な表現 | ・薬機法、景品表示法、著作権法など、特定業種に関わる法的表現に問題はないか (例:不当表示、誇大広告、効果・効能の断定表現) ・人種・性別・宗教・年齢層など特定属性への偏見や差別的な表現はないか |
大枠の項目だけを記載しました。細かく見ていくと他にもあります。
チェックする範囲は多岐に渡りますが、大枠だけでも頭に入れて作業を進めましょう。
一次情報・公的機関の情報でチェックする
チェック方法はいくつもあると思いますが、ほとんどの方はWebサイトをソースとして、正確性や根拠を調べると思います。
このとき、一次情報(オリジナルの情報)を確認するか、公的機関(省庁、自治体、行政法人など)の情報でチェックしましょう。
ファクトチェックで最も重要なことは信頼できるソースで確認しているかです。
商品名などの固有名詞は発売元のメーカーサイトで確認する、法改正や制度の変更は公官庁や信頼できる団体のサイトで確認します。
統計データの数値などは一次情報(政府、自治体、国際機関など)を参照するのが必須です。
仮に一次情報・公的機関に当たるのが難しい場合でも、複数のサイトを見比べて内容が正しいかを判断します。
1つのサイトで確認できたとしても、誤った解釈だったり、偏った価値観で記載されていたりすることがあります。
最新の情報かチェックする
情報が最新の内容になっているか(公開日・更新日はいつか)も確認しましょう。
古い情報でチェックしても誤りに気づくことはできません。
法改正などは頻繁に行われるので、最新の情報であることが重要です。
できれば情報源(ソース)を紙面に明記しておいた方がよいでしょう。
ネット上では、法改正など最新の情報に対応できていない記事も多数存在します。
最新の注意を払って確認しましょう。
常識的な内容は最初にチェックする
常識的にすぐに確認できる内容は、最初にチェックしておきましょう。
例えば、消費税や割引率などの数字、カレンダーの日付と曜日、自社の社名や連絡先(住所、電話番号など)などです。

いや、これは当たり前にチェックするでしょ!
と思うかもしれませんが、終わってみたら当たり前すぎて、誰一人チェックせずにミス発生…
これ、実は制作現場ではあるあるなんです。
こんな事態にならないためにも、忘れる前に最初にチェックしておきましょう。
文章の誤り
文章の誤り(誤字脱字や英語スペルの間違い、表記のゆれなど)も、企業の信頼性を落とす要因になります。

文章は何回も読んだけど・・・
そう思うかもしれませんが、内容を確認するために読むのと、文章の誤りを見つけるために読むのでは、読むときのポイントが異なります。
文章の誤りを見つけるには、ちょっとしたコツがあるのです。
以下の記事では、誤字脱字や表記ゆれの間違いをチェックする方法を紹介しています。
参考にしてください。
ダンクでは、ファクトチェックを含めたWeb記事専門の校正サービスを提供しています。
ダンクの精度を知っていただくために、記事一本無料の校正トライアルも実施しています。興味のある方は、以下のサービスページをご確認ください。
おすすめの無料AIツール
ここまで紹介した内容をチェックしていくのですが、人の目でチェックして、検索エンジン(Google、Yahoo!など)でソースを探すのは、かなり骨が折れます。
加えて、ひとりだけのチェックでは見落としのリスクもあります。
ダンクがおすすめしているのは、
- まず内容を目視でチェック
- 少しでも怪しいと思った箇所があったらAIツールで確認
ここでは、おすすめのAIツールと使い方を紹介します。
AI搭載検索エンジン Perplexity

※本記事は、2025年4月の情報をもとに執筆しています。AIツールは日々進化していますので、サービスのサイトから最新情報を確認してください。
近年、さまざまなAIツールがリリースされていますが、多すぎて何を選んでいいのか…なんてお悩みではないでしょうか。
ダンクがおすすめしているのは、ファクトチェックに特化するならPerplexity(パープレキシティ)です。
Perplexityには、以下のような特長があります。
自然言語での入力が可能
Perplexityは人工知能を活用して効率的に検索する仕組みで、AI検索と呼ばれています。
Google検索に代表される従来のキーワード検索とは異なり、自然言語での質問により検索することができます。
例えば、「~~について教えて」「~~~とは?」のように質問すると、複数のソースを元にAIが要約した回答を提示してくれます。
普段使いの文章で入力すればいいので、特殊な知識はいりません。
出典付きで回答を表示
回答とともに出典元のソースも提示してくれます。ファクトチェックで最も大変なのがソース探しです。
ソースが信頼できるかどうか、リンクをクリックすればすぐに確認できます。
リアルタイムの情報で回答
Perplexityはインターネット上にある最新データをもとに回答を提示してくれます。
実は古い情報でチェックしていた…というリスクをある程度回避できます。
現在、ChatGPTでも同様の機能が実装され、だいぶ使いやすくなりました。
ここからはPerplexityの使い方を説明しますが、chatGPTでも同様の使い方ができます。
Perplexityの使い方
使い方はいたってシンプル。
- 気になる文章を貼りつけて、正しいか質問する
- 出典元を確認する
だけです。
トップページからそのまま無料で使えますが、無料の新規登録をしてログインすると、検索履歴・スレッドの保存ができたり、Copilot(GPT-4)モードで利用できたりするので、ログインしての使用をおすすめします。
ちなみに、有料版を利用すると複数のAIモデル選択が可能になります。
(GPT-4o、Claude 3、GoogleのGemini、Mistral Largeなど)
❶気になる文章を貼りつけて、正しいか質問する
事実関係の誤りで記載した内容をチェックしていき、少しでも「この箇所大丈夫かな、怪しいな」と思ったら、Perplexityに文章を貼りつけます。
このとき、欲張って全文を貼り付けて、事実関係を確認するのは避けましょう。
長文を貼りつけてしまうと、AIはすべてを踏まえて検証してくれません。
1つの質問に対して、確認すべき項目は1つに留めるのが理想です。
2~3文くらいに区切って質問するようにします。
一例として、次の文章の事実関係をPerplexityでチェックしてみましょう。
フリーランス保護法の適用範囲を解説します。
フリーランス保護法は、原則として個人事業主を主な対象としています。
これは事実ですか?

❷出典元を確認する

このような形で回答を提示してくれます。
内容を読むと、
“「フリーランス保護法は、原則として個人事業主を主な対象としています。」は一部事実ですが、正確には「個人事業主だけでなく、代表者1人のみで従業員もいない法人」も主な対象となります。”(赤枠部分)
と記載があります。
「代表者1人のみで従業員もいない法人」もフリーランス保護法の対象になるため、元の文章は間違っていると言えます。
しかし、ここでPerplexityの回答を完全に信用してはいけません。
この回答は本当に正しいのか、ソースとなっているサイトを確認しましょう。
❷❺❼❽の数字がソースのリンクになっています。

例えば❷をクリックすると、法律事務所が執筆・監修した記事がでてきました。

記事の本文を読むと、「代表者1人以外に役員や従業員がいない法人」と記載があります。
Perplexityの回答が正しかったと分かります。
念のため、執筆者のプロフィールを見ておけばソースとして信頼できるか確認ができます。加えて、執筆日時も古くないか確認しておきましょう。
ひとつのソースを見ただけで確信を得られない場合は、他の数字(❺❼❽)もクリックして、複数のサイトでチェックしておきます。
クロスチェックで確認する
上記の例では法律事務所などの民間企業がソースになっていましたが、政府機関のウェブサイトなどをソースにしたい場合は、質問を変えて回答を提示させます。
Perplexityに、「フリーランス保護法を政府のWebサイトで調べて」と指示すれば、政府のソースリンクを提示しつつ、正式な名称や詳細な情報を提示してくれます。
Perplexity利用時の注意点
ここまでの作業を繰り返してファクトチェックを進めていきますが、Perplexityを扱ううえで、(AIツール全般に言えますが)注意点があります。
ソースのURLは保存しておく
生成AIを利用している特性上、同じ質問をしても毎回違う答えが返ってきます。
Perplexityにログインしていれば質問の履歴はブラウザ上に残りますが、うっかり削除した場合などに備え、ソースのURLは必要に応じて保存しておきましょう。
Perplexityの回答を丸ごと信頼しない
インターネット上にある最新データに対応しているとはいえ、必ず最新データかと言えば、そうとは言えません。
参照元の情報が古かったり、そもそも間違った回答をしていたりする可能性もあります。
あくまで参考に留め、ファクトチェックをする際は人の目でソースを確認してください。
最終的な判断は人間がする必要があります。
専門家に監修を依頼する
高い専門性が求められる内容の場合は、専門家に監修を依頼することも検討した方がいいでしょう。
例えば、法的リスクや公共性に関わるような分野です。
特にYMYLと呼ばれる「人の健康、経済、安全に悪影響を及ぼすリスクがある内容」は、専門家に監修してもらうのが安全です。
※YMYL とは、Googleの検索品質評価ガイドラインに登場する、ユーザーの生活に重大な影響を与える可能性がある分野を指す用語です。
ダンクでは専門家の監修サービスも請け負っています。自分のファクトチェックだけでは不安という方は、お気軽にご相談ください。
まとめ
ファクトチェックのやり方とAIツールを紹介しました。
AIツールを使ったファクトチェックは、情報収集の効率を大幅に向上させますが、一方で、最終的な判断は人間が行う必要があります。
まだAIから100点の回答をもらえるとは限りません。
AIツールを賢く使うポイントとして、
- AIは検索や要約が得意だが、その正確性の判断は人間が行う必要がある
- PerplexityなどのAIツールを用いて効率的に情報収集を行う
- 情報元が信頼できるか必ず確認する
といったことがあります。
本記事の内容を参考にして、AIツールを上手に活用してファクトチェックを行ってください。
ダンクでは、専門スタッフの校正・校閲とAIツールを活用したファクトチェックを組み合わせて、正確かつ質の高いコンテンツ制作をサポートしています。
記事やコンテンツの品質担保にお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。
この記事の監修者

- 広告校正セミナー講師
- 2007年ダンク入社後、大手流通チラシの校正業務を担当。その後、大型カタログや金融商品等、さまざまな校正・校閲業務に携わる。
現在は編集・校閲グループリーダーとして、編集・校正業務はもちろん、クライアント対応やスタッフ育成、社内外に向けた校正ノウハウの発信にも注力する。
2024年からは宣伝会議の「校正・校閲力養成講座」講師を担当。
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