【初心者向け】プロの校正のやり方を校正会社がわかりやすく解説

案内やパンフレット、カタログなど自社の制作物のミスを減らしたいけど、どうすればいいのかわからない、という方は多いのではないでしょうか。

校正をした方がいいことは理解しているけど、じゃあ、校正ってどうやればいいの……?

ダンクは、カタログやパンフレット、チラシなどの販促媒体の校正を数多く手掛けてきました。

この記事では、校正の初心者の方に向けて、校正のやり方を体系的に解説しています。

正直かなりマニアックです。ですが、ここまで深く「校正」を解説したものもないのではないか、と勝手に自負しています(笑)。

マニアックですが、難しいことは一切書いていません。校正会社のノウハウをわかりやすく解説しました。

明日から使えるコツをまとめたので、ぜひ貴社でも取り入れてみてください。

こんな悩みを抱えた企業担当者さま向けに書いた記事です。

  • パンフレットの誤字脱字が頻発している…
  • 折込チラシの価格を間違えて大きな損害が…
  • カタログの注文番号を間違えて正誤表で対応している…

<以下のような販促媒体が対象の記事です>
 カタログ、パンフレット、チラシ、案内ガイド などの販促ツール

校正とは?校閲との作業の違い

校正というと、みなさんはどんなイメージを持っていますか?

「一人黙々と紙に向き合う文章オタクの職業」

ある意味当たっていますが、そうとも言えない部分も多々あります。

例えばダンクの校正現場は、読み合わせの声やあおり校正の「パタパタ」という音など結構騒がしい職場です。むしろ営業部門の方が静かだったりします。

みなさんがイメージしたのは、いわゆる「校閲」寄りの作業かもしれません。この記事では校閲ではなく、「校正」のやり方を解説していますので、まずは校正と校閲の違いついて理解しておきましょう。

校正とは

校正とは、一般的には用意された原稿と制作した紙面の内容が違っていないかを照合していく作業を言います。

(原稿を用いない“素読み”という手法で、誤字・脱字や表記統一等をチェックしていく校正もありますが、今回の記事内では軽くしか触れていません。
そちらについて深く知りたい方は別記事「素読み校正のやり方とコツを校正会社が解説」を確認してください。)

デザイン会社は、クライアントから支給された原稿をもとにデザインを施し、クライアントからの赤字に従って修正を加えます。コピーライターは、クライアントからの原稿や取材情報を頼りにコピーを書きます。

基本的に原稿をベースにして、デザインやテキストが起こされるわけですが、この原稿から加工する過程で多くのミスが発生します。このミスを拾うのが主な校正の仕事です。

校閲とは

対して校閲は、誤字脱字や表記ゆれに加えて、事実関係の誤り、根拠のないデータ表示、差別につながる表現などがないかを調べ上げ、文章にまつわるあらゆる矛盾を指摘していくという仕事です。

新聞や書籍など、文字が中心の出版業界といえばイメージしやすいかもしれません(もちろん出版業界でも校正は行いますが、主に校閲が中心です)。

ドラマ校閲ガールは賑やかでしたが、実際の校閲部は、文章のプロが黙々とプロの仕事をこなしています。

ですから、校正と校閲では求められるスキルや適性が異なるとも言えます。

この記事では、ダンクが得意とする校正のやり方について解説していきます。

ミスが発生する主な原因は、制作ミスと原稿ミスの2種類

制作物を作るうえで、ミスが発生する主な原因は制作ミスと原稿ミスの2種類に分類されます。

どちらのミスを見つけるかによってチェック方法は変わります。ここでは制作ミスと原稿ミスの違いについて解説します。

<図① 制作ミスと原稿ミスの違い>

制作ミスとは

制作する際、原稿通りに媒体を作るのは最低限の仕事です。ですが原稿通りに作るのは、言うほど簡単でもありません。

制作ボリュームが多くて反映しきれない、原稿が何度も変わるので更新内容を拾い切れない、作業時間が短くて反映できない、そもそも校正していない・・・

ミスの原因を上げるときりがありませんが、こういった制作する過程で発生したミスを見つけるのが校正者の役割です(図①参照)。

原稿ミスとは

表記のゆれ、事実関係の間違い、誤字脱字・・・そもそも原稿が間違っていては、いくら原稿通りに制作しても間違いはなくなりません。

原稿を作るのも人間です。多少の間違いは否が応でも発生します。原稿上の間違いを指摘するのも校正者のひとつの役割となります(図①参照)。

制作ミスを見つける<校正紙を校正する>

まずは制作ミスを防ぐ校正のやり方を解説します。校正の方法には、主に突き合わせ校正・読み合わせ校正・あおり校正・ツールを使った校正の4種類があります。
(あおり校正の代わりに、交差法や平行法という校正方法もありますが、今回は省きます。)

ここからは4種類の校正のやり方とコツを、ひとつずつ紹介していきます。この章の最後には、各々のメリット・デメリットと使用シーンについても解説します。

①突き合わせ校正

原稿と制作した紙面(以降、校正紙)を見比べて照合するやり方を突き合わせ校正と呼びます(引き合わせ、照らし合わせ、付け合わせと呼ばれることもあります)。

原稿をそばに置いて、原稿と校正紙を一文字ずつ照合していくことにより、文字や数字の間違いを発見します。一人で校正をするときには最適な校正のやり方で、スタンダードな校正方法です。

 突き合わせ校正のやり方 

①原稿を左に、校正紙を右に置きます。(利き手側に校正紙を置いてください)

この置き方にポイントが。

<NG例>原稿と校正紙が離れすぎていると見間違いしやすくなります

できるだけ視線の移動を少なくするために、確認箇所を近づけて並べます。

これは子どもの宿題の丸つけなどでも同じことが言えます。

<OK例>原稿と校正紙を近づけて、見間違いを防ぎます

紙を近づけても遠いと感じる場合は、上の写真のように折って近づけるようにすると、見間違いのリスクを下げるとともに、作業効率も向上します。

②左手は確認箇所を指差しして、原稿のどこを見ているか見失わないようにします。

原稿と校正紙を見比べて原稿通りかどうか確認し、校正紙をマーカーなどで消し込んでいきます。原稿側にも確認した箇所にチェックを入れていきます。

左手で確認箇所を指さしながら

③最後に確認モレ(消し込みモレ)がないかを校正紙と原稿の両方を見直します。

確認済みの箇所をマーカーで消し込みながら

突き合わせ校正のコツ

<情報を細分化してチェックする>

とにかく一つひとつの情報を細分化して見ていくのがポイントです。

文字だったら「一文字ずつ」、ロゴやイラストだったら「図形ひとつずつの色・形」というように、情報を原子単位でチェックするということです。

細かいコツは別の記事で詳しく説明しています。こちらの記事も参考にしてください。

コツを知れば簡単!誤字脱字をチェックする方法

<最後は必ず見直しする>

そして最も重要なのは、作業の最後に確認モレ(消し込みモレ)がないか見直すことです。

消し込み作業をするのは見直しをするためです。極端に言えば、見直しをしないのであれば消し込み作業も必要ありません。

皮肉なもので、確認し忘れた箇所に限ってミスが発生することがよくあります。

ダンクの過去のミスを分析しても、実は単純な確認モレがミスの原因の過半を占めているのです。子どもの頃から親や先生に「問題は解いたら必ず見直しなさい」と言われてきた方もいるかと思いますが、案外見直しのできない大人が多いのが実情です。

②読み合わせ校正

簡単に言うと一人で行う突き合わせ校正の作業を分担して、二人で行うやり方です。

「視覚と聴覚」を使った校正方法である点が特徴のひとつです。

  • 読み手(原稿を読む人)
  • 消し手(原稿通りに情報が入っているかチェックする人)

の二人に分かれて校正を行います。

突き合わせ校正では一人で原稿と校正紙を目で追いながら作業しますが、読み合わせ校正は原稿と校正紙、それぞれに集中できるのが最大のメリットです。

消し手は、読み手が言った通りに出来ているか校正紙を確認します。原稿を都度見るのではなく、原稿を音として認識するため、視線が動いてどこを見ているか曖昧になるというリスクが減少します。

読み手は、原稿を一字一句間違わずに読み上げます。原稿に集中できるので、原稿の矛盾点や間違いに気がつきやすくなります。

二人での作業となるため時間とコストはかかりますが、高い精度で校正を行うことができます。

突き合わせ校正と読み合わせ校正、どちらが精度高く指摘できるかダンク社内で実験したことがあります。
小さな文字で書いてある「保険料」を、わざと「保険金」と誤植したテスト問題を作成しました。

結果は、読み合わせ校正は見落としゼロ。対して、突き合わせ校正では発見できないケースがありました。

読み合わせ校正のやり方

①読み手と消し手は、基本的に横並びに座って作業します。

読み手と消し手は横並びに座る

②読み手は、原稿を読み上げたら、読んだ原稿のところにチェック、
 消し手は、読み手が読んだ箇所を確認しながら校正紙を消し込みます。

この作業を繰り返して進めていきます。

読み合わせ校正のコツ

<赤字を入れるときは二人で確認する>

消し手が赤字を入れたときは必ず二人で確認しましょう。消し手の思い込みで赤字を入れることがあるからです。

赤字を入れたら、

  • 消し手が赤字を読み上げ、読み手は原稿と一致しているか確認する
  • 消し手が原稿をみながら赤字を入れて、読み手は隣で確認する

などの方法で進めましょう。

赤字を入れた時はニ人で確認

このとき、読み手は消し手の利き手と反対側に座るのがオススメです。消し手が赤字を入れるときに確認しやすくなるためです。

<読み手は伝わるように読む>

読み手が原稿を読むときは「正しく読む」のではなく、「伝わるように読む」ように心がけます。

例えば・・・

●不二家

×ふじや    〇ふじいえ

家の「や」を屋根の『屋』と勘違いしてしまうことがあるので、あえて「いえ」と読みます。

●髙島屋

「たかしまや」と読んだ後に、「髙ははしごだか、屋は屋根のや」と伝えるようにします。
髙には『高』と『髙』の異なる字形があるからです。

●齋藤

『さい』には『斉』『斎』『齊』『齋』の4つの漢字があります。

「さいとう」と読んだ後に、旧字体の『齋』であることを、原稿を見せて確認します。

視覚だけを使った突き合わせ校正に対して、聴覚を使った読み合わせ校正の唯一の弱点が、同訓異字や同音異字、同音異義語の判別です。

ですが、このように読み手が気を使って読み方を変えたり、原稿を見せたりと工夫をすることで、該当箇所への気付きを最大化させることもできるのです。

<最後は必ず見直す>

突き合わせ校正同様、確認モレがないか、校正紙と原稿の両方を見直します。

③あおり校正

人間の目の錯覚を利用したチェック方法で、これができれば難易度が高いと言われている某ファミレスの間違い探しも簡単に全問正解できます。

初校(最初に原稿から作成した紙面)以降は、基本的に初校に対して変更・訂正の赤入れを行い、制作者が修正していきます。この工程を何度か繰り返して校了に向かいます。

このとき入った赤字が正しく直っているかチェックするのはもちろんですが、それだけでは作業として十分とは言えません。

赤字を修正したことにより、赤字以外の箇所を間違えたり、レイアウトが崩れたり、といったことが頻繁に起きるからです(これを指定外変化といいます)。

そこで効果的な校正のやり方があおり校正( “パタパタ”や“めくり合わせ”と呼ばれることもあります)です。

あおり校正のやり方

①まずは校正紙に入った赤字(クライアントの赤字や変更点の赤字)をチェックします。
赤字が直っていなければ話になりませんので慎重にチェックしましょう。

②その後で校正紙を重ねて、繰り返しめくります。赤字修正箇所以外で視覚的に一致しない箇所がないか目視で確認していきます。
 その際、トンボを合わせるなどして、ズレないように注意しましょう。

文字やイラストをたよりに2枚をピッタリ合わせて……
あおり検版
パタパタとめくります

③紙面を頭の中でブロック化して、目視を終えたブロックにマーカーなどで斜線チェックを入れておくとよいでしょう。そうすることで確認モレを防ぎます。

 特に写真や図表などが複雑にレイアウトされた紙面では、ブロックまるごと飛ばしてしまって見落とすケースがあるので注意が必要です。

校正紙を重ねるときは、修正後を下、修正前を上にするのがオススメです。

  • 修正後の校正紙が読みやすくなる
  • 修正後の校正紙をきれいな状態にしておけるので、次の工程への配慮になる

といった効果があります。

あおり校正のコツ

<突き合わせ校正と上手に併用する>

あおり校正が効果的なのは修正前と修正後でレイアウトが大きく変わっていない場合に限られます。

レイアウトが大きく崩れているのに無理やりあおり校正を行うと、うまく目の錯覚を利用して不具合を発見することはできません。

あおり校正のコツは、あおりづらい箇所は無理にあおらず、突き合わせ校正をしっかりと行うことです。

同一紙面のなかでも、あおり校正できる箇所とできない箇所があることが大半です。二つの校正方法を上手に併用することが大切です。

<最後は必ず見直す>

これまで同様、確認モレがないか見直します。

このとき、赤字の周りを注意して見直しましょう。赤字周りは、間違いが発生する可能性が高い危険地帯です。指定外変化が起きていないか、落ち着いて再確認します。

④ツールを使った校正(デジタルツール校正)

近年ではデジタルの校正ツールも充実してきました。言うまでもなく、人間の目で見るよりも圧倒的に精度は高いです。
うまく活用することで校正の精度向上が期待できます

※ここでいう校正ツールとは、修正前と修正後を比較して、異なる箇所を抽出する(以降、差分)ツールを指します。
wordに搭載されている誤字脱字をチェックするようなツールやAIを搭載したものもありますが、ここでは差分抽出ツールに絞って紹介します。

差分抽出ツールには、大きく分けると以下の2種類があります。

  • テキストデータでの照合
    修正前と修正後のテキストデータ比較で差分を抽出します。
  • 画像データでの照合
    修正前と修正後の制作データを画像化して、ピクセルデータ比較で差分を抽出します。

テキストデータで照合するツールの紹介

テキストデータを照合・比較するツールの一例を紹介します。

テキスト比較ツール 『difff<<デュフフ>>』 (無料)

(difff公式サイトより)

使い方

部分に、比較したいテキストをそれぞれ入力して、「比較する」をクリックします。

②テキストの差分に色付けして表示されます。
 自分が意図して修正した箇所以外に色付けされている場合は、ミスの可能性が高いのでチェックしましょう。

画像データで照合するツールの紹介

画像データを照合・比較するツールの一例を紹介します。

PDF比較 デジタル検版ソフト[ビットマッチ プレミアム] (有料) 

(BitMatch公式サイトより)

使い方

▲修正前のPDF
▲修正後のPDF

①比較したい修正前と修正後のPDFをドラッグしてコピーします。

すると2つのPDFが重ねられて・・・

②差分の箇所に色付けして表示されます。

色がついたところが、食い違うところだとわかります。意図していない箇所に色付けされている場合はチェックしましょう。

校正ツールの注意点

データを比較して差分を抽出する校正ツールの一例を紹介しました。これ以外にも無料・有料の校正ツールがあるので探してみてください。

注意点として、一から原稿を書き直した、デザインを大きく変更した、などの大幅な修正を加えた後に比較すると、ほぼ全面が差分になってしまうことです。どこが間違いなのか判断できなくなってしまうので、その場合は別の方法で校正をする必要があります。

オススメの利用方法は、修正が少なくなってきた校了間際で利用することです。

ダンクでは、あおり校正時の注意喚起として使ったり、ダブルチェックの代わりとして使ったり、校正の補助的な役割で導入しています。

4種の校正のメリットとデメリット

紹介した4つの校正方法にもメリットとデメリットがあります。それぞれの特性を理解して上手に使い分けましょう。

校正のやり方メリットデメリット
突き合わせ校正・一人で作業が完結する
・レイアウトが変わっていても照合できる
 原稿と校正紙を視線が行き来するので見間違いのリスクがある
読み合わせ校正・原稿と校正紙の各々に注力できるので集中力を保ちやすい
・2名作業なので、やり方次第でダブルチェック同等の効果がある
・二人同時刻での作業が必要
・同訓異字や同音異字、同音異義語に弱い(やり方次第でメリット化も可能)
あおり校正 原稿と校正紙のみで手軽にできる 校正ツールと比べると発見精度に劣る
ツールを使った校正
(デジタルツール校正)
 圧倒的に発見精度が高い・ソフトやPC環境により差分抽出に手間がかかる
・比較元データの取り違いリスクがある

4種の校正を使うシーン

どんなシーンで使い分けると効果的かまとめました。参考にしてください。

校正のやり方使うシーン一例
突き合わせ校正・同訓異字や同音異字、同音異義語が頻出する名簿
・写真や図表などが多いフリーレイアウト紙面
読み合わせ校正・価格や商品番号リスト
・情報量の多い媒体
・複数人の視点、意見が必要な場合
あおり校正 修正前後で大きくレイアウトが崩れていないペラものなどの資料
ツールを使った校正
(デジタルツール校正)
 修正前後で大きくレイアウトが崩れていないカタログなど

原稿ミスを見つける<原稿を校正する>

ここからは原稿ミスを防ぐ校正のやり方を解説します。

そもそも原稿が間違っていたら、いくら原稿通りに制作してもミスが発生してしまいます。原稿の間違いを見つけることも校正者の役割のひとつです。

原稿のミスを見つける方法のひとつが素読み校正です。

素読み校正とは、表記ゆれや誤字脱字をはじめ、一般常識的な間違いを見つける作業をいいます。原稿をじっくり読み込んで、調べなくてもわかる範囲で可能な限り誤りを指摘していきます。(ダンクでは、一定範囲の事実関係を調べる作業も素読み校正に含む場合があります)

素読み校正のやり方

素読み校正のやり方には、大きく4つのポイントがあります。

  • 常識チェック
    日本語の違和感や常識的な間違いをチェック
  • 誤字脱字チェック
    漢字や送り仮名の間違い、英語のスペルミスなどをチェック
  • 表記ゆれチェック
    同じ制作物内で表記がゆれていないか(異なっていないか)をチェック
  • ファクトチェック(事実関係の確認)
    数値や時系列、日付や人名など事実関係の間違いをチェック

4つのポイントを簡単にまとめましたが、チェックするにはいくつかコツがあります。

ここでは書ききれないので、別の記事にまとめました。深く知りたい方はこちらを確認してください。

素読み校正のやり方とコツを校正会社が解説

ダブルチェックで校正の精度をさらに上げる

ここまで校正のやり方を説明してきました。
ですが、人間が作業する以上100%ミスをしない、ということはありえません。

1回の校正では不安という場合は、ダブルチェックを行うのも有効です。2回チェックすることで、ミスが発生する確率も下がります。

例えば作業者1人の場合、0.1%(1,000分の1)の確率でミスが発生すると仮定します。
単純に2人に増やせば0.1%×0.1%=0.000001(1,000,000分の1)となり、理論上で言えば、極端にミスの確率は下がります。

これだけでもダブルチェックをする意味はありますが、あくまでこれは計算上のお話。一人目が見落とした箇所を二人目も見落とす、ということは充分に起こりえます。一人目と二人目が同じ見方をしていると同じワナにハマりやすい、というわけです。

そこで大事になるのが、目線を変えてダブルチェックを行うことです。

二人目は、一人目と視点を変えてチェックする

視点を変えるとは具体的にどうすればいいでしょうか。

例えば、以下のようなポイントで一人目と二人目の作業の視点を変えます。

一人目:突き合わせ校正

二人目:原稿の売価だけを突き合わせする(視点を重要な売価だけに絞る)

一人目:あおり校正

二人目:赤字のチェックだけを行う(視点を赤字の直しモレだけに絞る)

重要度が高いところや、リスクが高いところを二人目がチェックする、というようにポイントを押さえて作業するとミスの発生を減らすことができます。

ポイントを押さえることで作業時間の短縮にもなります。
作業の選択と集中を上手に行うことが大切になるのです。

校正するときの心構え

いかがでしたでしょうか。

マニアックに校正のやり方を解説してきましたが、最後に校正をするときの心構えをお伝えしておきます。

それは「見落とし」「見間違い」「勘違い」の3つを防ぐこと。
校正のやり方は理解しても、間違いに気がつかなければ意味がないですよね。

①見落としを防ぐ

とにかく校正の最後に見直しをすることです。

本記事の中でもお伝えしていますが、作業をした箇所を順番に消し込んで、作業のし忘れがないか確認する癖をつけましょう。

そのためにも、作業が終わった箇所から消し込みすることが重要です。でないと最後の見直しができません。

②見間違いを防ぐ

高い集中力で校正に取り組むことです。

時間に追われていたり、注意が散漫だったり、睡眠不足だったり……
校正は集中力が大切です。集中していないと見間違いがよく起こります。

高い集中力を持って、丁寧に校正に取り組みましょう。

③勘違いを防ぐ

一人ぼっちで校正作業を完結しないことです。

そのためにはダブルチェックを取り入れたり、読み合わせ校正を行ったりしましょう。
自分とは別の目線を入れることが大切です。

\「まちがい」で困っている方へ/

この記事を書いた人

岡崎聡
岡崎聡株式会社ダンク取締役社長
フリーランスでの編集・カメラマンなどを経て、1994年に株式会社ダンク入社。校正、進行管理、営業対応などに携わる。
2008年10月、株式会社ダンク取締役社長に就任。
2014年からは、宣伝会議の「校正・校閲力養成講座」講師を担当。
販促会議デジタルマガジンに「販促ツールの品質を高める 校正のチェックポイント」などを寄稿

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ダンクの校正現場で実際に使っているノウハウをまとめました。この資料で「プロの現場レベルの知識」が身につきます。
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