【校正会社が解説】文章校正でChatGPTを活用する方法!プロンプト例も紹介

近年、AIは飛躍的に進歩し、さまざまなAIツールが登場しています。その代表格と言えるのがChatGPT。

本記事では、校正会社のダンクが、ChatGPTの文章校正の精度と、その使い方を解説します。

でも実際どこまで信用できるの…?

そんな不安もあって使うのをためらっている…そんな方もいるのではないでしょうか。

結論から言うと、ChatGPTへの指示の仕方(プロンプトの書き方)次第で、高い精度で文章校正をしてくれます。

ポイントは、プロンプトを具体的にすることと、長文は短く区切ってチェックすることです。

ただし、ChatGPTが毎回完璧な校正結果を示してくれるかと言えば、現状ではそうとは言い切れません。
100点の文章校正を目指すのであれば、人の目のチェックと判断が必要です。

本記事では、その点を踏まえてChatGPTで文章の精度を上げる方法を解説します。

自分にはない視点で指摘してくれたり、作業を効率化できたり、ChatGPTを活用するメリットは多数あります。

<本記事の対象>

Webメディアの記事、ビジネスメールや報告レポートなど、文章ベースの校正に限定しています。

校正・校閲やデザイン制作など、制作まわりの外部委託をお考えの方は、以下の資料をご一読ください。
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ChatGPTのはじめ方

ChatGPTは、話しかける感覚で質問や依頼をテキストで入力すると、即座に回答を生成してくれるAIツールです。

はじめ方はいたって簡単。
ChatGPT へアクセスして、メールアドレスまたは Google/Microsoft アカウントで新規登録すれば、すぐに使えます。

無料版と有料版があり、無料版でも十分な文章校正ができますが、有料版は最新モデルを利用できるため、さらに高精度で校正ができます。
実際、無料版では指摘されなかった文章の誤りが、有料版では指摘されるケースがあります。

高い精度で文章校正を行いたい方は有料版をおすすめします。

校正を体系的に学びたい方は以下の記事を参考にしてください

ChatGPTを使った文章校正のメリット

まずは、ChatGPTを使った文章校正のメリットを紹介します。
ChatGPTが得意なことを把握して、フル稼働してもらいましょう。

短時間で校正ができる

目視での確認に何時間もかかる長文でも、ChatGPT なら数十秒でチェックしてくれます。
長年、校正を生業としてきたダンクとしては涙目な状況ですが、スピードは逆立ちしてもかないません。やはり便利なものは便利です。

幅広い知識を持っている

ChatGPT はインターネット上にある膨大な情報を学習しているため、さまざまな文体やビジネス・趣味などの専門用語にも対応しています

客観性のあるチェック

人間特有の先入観や自分で書いた文章への思い入れがあると、文章を偏向的に読んでしまうことがあります。
その点、ChatGPTは感情に左右されず淡々と指摘してくれるので、自分では思い浮かばない意見が出てきたり、文章のリズムや言い回しの偏りを指摘してくれたりします
「もう一人のサブ校正者」くらいの感覚で活用すると、自身の校正の視野も広がります。

ChatGPTを使った文章校正のコツ

※本記事は、2025年4月時点の情報をもとに執筆しています。AIツールは日々進化していますので、使用の際は最新情報を確認してください。

ChatGPTのメリットをお伝えしましたが、もちろんデメリットもあります。

ChatGPTで文章校正する場合は、このデメリットをいかに補うかがポイントです。

デメリットを補っておかないと、精度の低い校正結果になってしまいます。

ポイントは次の4つです。

人間の目で見直しをする

AIといえど、精度100%とは言えません。指摘がモレることや誤った指摘をすることもあります。
特にミスが許されない場面ではChatGPTだけのチェックはリスクが高いです。
最終確認は必ず人間の目で行う、これが鉄則です。

同じ指示を何度か繰り返す

同じ指示(プロンプト)で質問をしても回答が毎回変わることがあり、不安定です。
1回のチェックでは指摘モレがあっても、何度か繰り返すと完璧に指摘してくることもあります。

そういった誤差をなくすために、同じプロンプトで何度か繰り返し、結果を比較すると精度が上がってきます。

回答結果の下にある「もう一度試す」ボタン(赤枠)を押して、何度か繰り返します。

<>(青枠)を押すと、繰り返した回答結果を見ることができます。

文章は短く区切る

長文を一度にChatGPTにかけると、全体を通した一貫性をもった指摘が難しくなってきます。
校正する文章は、章ごと・段落ごとなど、できるだけ短文に区切って指示を入力しましょう。

指示(プロンプト)を具体的にする

AIは複数のタスクを同時に実行すると精度が下がる傾向があります。
「校正をしてください」などのざっくりとしたプロンプトだと、校正結果も中途半端になりがちです。
プロンプトを書くときは、してほしい内容を具体的にして、作業を分けて実行すると精度が上がります。

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ChatGPTの文章校正 プロンプト例

ここからは文章校正で使えるプロンプト例を紹介します。

すでにお伝えしたとおり、対象の文章が長い場合は短く区切って、指示を具体的にすることがプロンプトを書くコツです。

「次の文章の校正をしてください」のような指示では、ChatGPTの威力は半減します。

「校正」作業をもっと分解して、プロンプトを具体的にします。
例えば、次のような作業に分解できますよね。

  • 誤字脱字、文法の誤り
  • 表記のゆれ
  • 事実関係の間違い(ファクトチェック)

本記事では、この3つの校正作業のプロンプトを紹介します。校正の中でも代表的な作業の3つです。

プロンプトを具体的にすることで高い精度を保てますが、弱点もあるので注意してください。

誤字脱字、文法の誤り

まずは、誤字脱字、文法の誤りのプロンプトです。

誤字脱字のプロンプト例

以下の文章を校正してください。誤字、脱字、文法上の誤りがあれば指摘し、適切な修正例を示してください。

[ここにチェックしたい文章を入力]

サンプルとして、以下の文章を用意しました。5箇所の誤字脱字を意図的に仕込んでいます。

  • 事前の作業設計で効率とコストを最適化

通常はオーダー通りに作業を始めるところを、ダンクでは作業設計を行ます
事前にヒアリングを行い、効率もコストも最適化して作業内容がご提案します
【事前ヒアリングの主な項目】

  • ミスが起きている個所、不安を抱えている点(ミスの原因を特定)
  • 政策の工程、制作の方法(校正・校閲の最適なタイミングを検討)
  • 希望の作業内容要件(作業ルールの設計)
意図的に仕込んだ誤字脱字
誤字脱字正解
行ます行います
作業内容がご提案します。作業内容をご提案します。
個所箇所
政策制作
内容要件内容、要件

校正結果

上記のプロンプトで指示したところ、以下のような回答がでました。

校正結果
結果誤字脱字正解
行ます行います
作業内容がご提案します。作業内容をご提案します。
個所箇所
政策制作
×内容要件内容、要件

「内容要件」の単語だけ指摘がモレています。

「内容要件」の単語だけを切り取ると誤字ではありませんが、この文章の主旨は「希望の作業内容と作業の要件」という意味なので「内容、要件」が正しいですよね。

このような文脈を読まないと間違いかどうか判別しづらい内容は、指摘がモレることがあります。

ただし、同じプロンプトで繰り返すと指摘したりもするので、何度か試して校正結果を比較してください。

表記のゆれ

次に、表記ゆれをチェックするプロンプトです。

表記ゆれは次の作業に分けてチェックした方が精度は上がります。

  • 全文そのままコピペしてチェックする
  • 短文に区切ってチェックする

誤字脱字と同様に短文に区切ってしまうと、全文を通した表記ゆれのチェックができなくなってしまいます。
反対に、全体が長文の場合は、ChatGPTの精度が落ちる可能性があります。

手間ですが、全文パターンと短文に区切ったパターンを分けてチェックして、校正結果を比較するのが最善の方法です。

また、プロンプトは「表記ゆれをチェックしてください」のような指示ではなく、何の表記ゆれをチェックしてほしいのか具体的にするのがポイントです。

以下のプロンプト例では、チェック観点を1~5に分けています。

表記ゆれのプロンプト例

以下の文章において、次の観点で表記ゆれをチェックしてください。

1漢字/ひらがなの使い分け(例:「こと」「出来る」)
2送り仮名の違い(例:「行なう/行う」)
3カタカナ語の長音(例:「メール/メ-ル」)
4外来語の表記ゆれ(例:「チェック/check」)
5語順の不一致(例:「校正・校閲/校閲・校正」)

[ここにチェックしたい文章を入力]

サンプルとして、3箇所の表記ゆれを意図的に仕込んだ文章を用意しました。

当社のサービスは、校閲・校正を通して企業価値の向上に貢献いたします。文書のクオリティーを上げることで、お客様の企業価値の改善に貢献します。校正と校閲、それぞれの特徴を活かした作業を提供し、文書品質の改善を図ります。さらに、作業工程を事前にヒアリングし、最適な校正・校閲プランを設計します。お客様のニーズに合わせて、クオリティの高いサービスを提供いたします。

意図的に仕込んだ表記ゆれ
校閲・校正校正・校閲
企業価値の向上企業価値の改善
クオリティークオリティ

校正結果

以下のような回答がでました。

校正結果
校閲・校正校正・校閲
×企業価値の向上企業価値の改善
クオリティークオリティ

「クオリティー」と「校閲・校正」は問題なく指摘されましたが、「企業価値の向上」と「企業価値の改善」は表記ゆれとは判別しなかったようです。

「改善」と「向上」は意味が異なるので表記ゆれとは言えませんが、伝えたい内容は同じですよね。

仮にダンクが校閲を請け負った場合は、指摘(疑問点)をだすシーンです。
企業価値とくれば「向上」と続きますし、企業価値を「改善する」とはあまり使いません。

誤字脱字のケースと同様ですが、文脈を理解しないと指摘が難しい表記は、回答に反映されづらいです。

加えて、自社独自の表記ルールがある場合は、プロンプトに表記ルールを加えた方がいいでしょう。
(プロンプト例の1~5の後ろに表記ルールを追加)

あまり一般的ではない表記ルールの場合、指摘がモレることもあります。

ちなみに、意図していなかった「いたします/します」の混在への指摘がありました。
文脈にもよりますが、統一されていた方が読みやすいですね。

表記ゆれをさらに精度高くチェックしたい方は、以下の記事を参考にしてください。

事実関係の間違い(ファクトチェック)

ファクトチェックの場合、プロンプトの具体化が難しいので、シンプルに「情報に誤りがないか調べてください」などの指示にします。

ファクトチェックのプロンプト例

次の文章に誤った情報がないか調べてください。

[ここにチェックしたい文章を入力]

ここで重要なのが、「検索」ボタン(赤枠)を押してからチェックすること。

AIは必ず完璧な回答を提示してくれるとは限りません。平気で嘘をついてくることもあります。

「検索」ボタンを押しておけば、ChatGPTがWebサイトを検索して、情報源(ソース)のURLを提示してくれます。
ChatGPTの回答が本当に正しいか、ソースのURLをチェックしてください。

サンプルとして、5つの嘘の情報を入れた文章を用意しました。

皆さんは、チョコレートの起源がエジプトにあるとご存じでしょうか?実は、古代エジプトではカカオが神聖な植物として崇拝され、ファラオたちの儀式で頻繁に使用されていました。また、ピラミッド建設に携わった労働者たちには、日々の報酬としてカカオが支給されていたと言われています。一方、現在のスペイン語の「チョコラテ」という言葉は、16世紀にエジプトから伝わったものが語源だとされています。さらに、驚くべきことに、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「モナ・リザ」の背景には、カカオの木が隠し絵のように描かれているとの説もあります。そして、日本でも江戸時代にはチョコレートが高級品として輸入され、徳川家康がこれを好んで食べていた記録が残っています。このように、チョコレートの歴史には驚きのエピソードが隠されています。

意図的に仕込んだ嘘
ファクトの間違い説明
チョコレートの起源がエジプト起源は中南米です
日々の報酬としてカカオが支給まったくの嘘です
16世紀にエジプトから伝わった実際は中南米から伝わった
「モナ・リザ」の背景には、カカオの木が隠し絵のように描かれているまったくの嘘です
徳川家康がこれを好んで食べていた江戸時代にチョコレートはありません

校正結果

以下のような回答がでました。

5つの嘘はバッチリ指摘されています。精度が高いですね。

ただし、必ずソースは確認してください。ソースとなるURL(赤枠)が提示されます。
ソースとして本当に信頼できるのか、人間の目でしっかりチェックしましょう。

さらに、法律・法令の制度や薬機法、景品表示法などの法的表現をチェックする場合は、より高い精度が求められます。

以下の記事では、AIツールを使ったファクトチェックのコツをまとめていますので参考にしてください。

校正マニュアルダウンロード

まとめ

ChatGPTの文章校正のやり方を紹介しました。

ポイントは次の4つです。

このポイントを押さえておけば、ChatGPTは高い精度で回答を提示してくれます。

ただし、完璧な校正結果を毎回提示してくるかと言えば、そうとは言い切れません。

ミスが許されないケースでは、人の目のチェックと判断が必要です。ChatGPTだけに頼るのではなく、補助的に活用する方が賢明でしょう。

ChatGPTだけではミスがないか不安、またはチェックする時間がない…という方は、プロの校正会社に依頼することも検討しましょう。

校正の依頼先でお悩みでしたら、お気軽にダンクにご相談ください。
最近では、AIに書かせた文章に対して「間違いがないか」「読みやすくなっているか」をチェックしてほしい、といった依頼も増えています。
ダンクでは、AIが間違えやすいポイントを理解したうえで、校正結果を納品します。

この記事の監修者

加藤健太郎
加藤健太郎広告校正セミナー講師
2007年ダンク入社後、大手流通チラシの校正業務を担当。その後、大型カタログや金融商品等、さまざまな校正・校閲業務に携わる。
現在は編集・校閲グループリーダーとして、編集・校正業務はもちろん、クライアント対応やスタッフ育成、社内外に向けた校正ノウハウの発信にも注力する。
2024年からは宣伝会議の「校正・校閲力養成講座」講師を担当。

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