コツを知れば簡単!誤字脱字をチェックする方法【校正30年のノウハウ】
カタログの制作を外部に依頼したら誤字脱字が発覚。
再印刷することに…
チラシの価格を間違えて、訂正が間に合わずに大きな損害が…
たかが誤字脱字となめていると、大きな損失や周りからの信用を失う、なんてことがおこります。
とはいえ、なんとなく文章を眺めていても誤字脱字には気がつきません。
校正チェックツールを導入しても、確実かと言えばそうとも言い切れません。
ダンクはカタログやパンフレット、チラシなどの販促物の校正を数多く手掛けてきました。
この記事では誤字脱字をチェックする方法をまとめています。
普段行っているチェック作業に、ひと手間加えることで、誤字脱字を減らすことができます。
誤字脱字を減らして、コストと時間を有効に使いましょう!
<対象となる制作物>
- 商品案内やガイドブックなどのパンフレット
- 商品やサービスを掲載するカタログ
- 案内や告知などのチラシ・フライヤー
- WEBサイトの記事など
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誤字脱字チェックのコツは「作業を分けて、ひとつひとつ読む」
ミスが起こる原因の多くは「ながら作業」にあります。
これは誤字脱字に限りません。
人間は機械ではありませんので、一度に複数のことを行うと、必ずと言っていいほど何かが抜け落ちます。
特に文章のチェックでは、それが顕著に表れます。
タイポグリセミア現象を知っていますか?
文章中の“最初”と“最後”の文字さえ正しければ、文章を補正して読んでしまう、というものです。
誤字脱字を見落とす原因、タイポグリセミア現象
なにも考えずに、下の文章を読んでみてください。
こんちには みさなん おんげき ですか? わしたは げんき です
こんにちは、みなさんお元気ですか? 私は元気です。
と読んでいませんか?
文章をよく見るとおかしな日本語になっています。
人間の頭脳は便利なもので、意味の流れを追いながら読んでいると、多少の誤字脱字は勝手に補正して読んでしまうのです。
意味合いのチェックと誤字脱字のチェックは作業を分ける
誤字脱字をチェックするコツは、読む視点を変えて作業を切り分けることです。
この方法ならタイポグリセミア現象の影響を最小限にとどめることができます。
作成したチラシや外部に依頼した制作物が出来上がると、みなさん自分で文章を読んでいると思います。
このとき、文章の意味合いのチェックと誤字脱字のチェックを同時に行っていませんか?
- 意味合いのチェック
意味の流れを追いつつ、内容が適切かどうか確認していくこと。
このとき、頭の中は完全に意味内容に集中しましょう。誤字脱字に気を取られていると、意味の流れがわからなくなります。 - 誤字脱字のチェック
一方で、誤字脱字をチェックするときは、意味の流れを追わずに一文字ずつ見ていきます。
意味合いのチェックと誤字脱字のチェックで作業を完全に切り分けましょう。
多少手間ですが、タイポグリセミア現象を避けて、確実にチェックすることができます。
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誤字脱字のチェックをするときは、一文字ずつまとまりで読む
では誤字脱字のチェックをするときは、どのような視点で読めばいいのでしょうか。
ダンクの校正現場で実際に起こった例を参考に、チェックするときのポイントをみていきましょう。
<某食品スーパーチラシの例>
どこに間違いがあるかわかりますか?
答えはタイトル部分の
「それぞれ1品以上お買い上げいたくと」
正解は、
「それぞれ1品以上お買い上げいただくと」
「だ」が抜けていました。
まさにタイポグリセミア現象・・・(泣)。
文章をスーと読んでしまうと、なかなか間違いに気がつきません。
なので、文節などで区切った固まりごとに一文字ずつ読んでいきます。
それぞれ いっぴんいじょう おかいあげ いたくと (脳内で音読します)
・・・いたくと?
「だ」がない!
このように自分が認識しやすいまとまりで区切って、一文字ずつ照合していくのが誤字脱字をチェックするときのコツです。
数字は一文字ずつ電話番号のように読む
数字の間違いも気づくのが難しい、やっかいな代物。
しかも商品売価や期限の日付を間違えると、その後の影響範囲ははかり知れません。
(正) 19,800円
(誤) 19,880円
違いに気がつきましたか?
2桁目の「0」と「8」が違っています。
これだけを見ると気がつくかもしれませんが、価格が散在するチラシやパンフレットの中に登場すると一気に難易度は上がります。
数字は一文字ずつ、電話番号を読むように脳内で読み替えます。
いち きゅー かんま はち ぜろ ぜろ えん (脳内で音読します)
1 9 , 8 8 0 円
・・・「8」?
ゼロが8になってる!
これなら8の間違いに気がつきます。
売価であれば ,(かんま) も読みましょう。まれに ,(かんま) が抜けていたり、位置がズレていたり、なんてことがあります。
校正を体系的に学びたい方は以下の記事を参照してください
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そもそもチェックしていなければ、誤字脱字に気がつかない
当たり前ですが、チェックをしなければ誤字脱字に気がつくことはできません。ですが、チェックしたつもりで、実際はチェックを忘れていた・・・
実はこのケースでの見落としが意外と多いのです。
ダンクの過去のミスを分析すると、この単純なチェックモレが過半を占めています。
ではなぜ、チェックモレがおきるのでしょうか?
あれ? どこまでチェックしたっけ・・・?
まあ、いいか・・・
これが主な原因です。
チェックしている最中に電話がかかってきたり、誰かに声をかけられたり、体調が悪いこともあれば、チェック中に彼女の顔を思い出す、なんてこともあるでしょう…
蛍光マーカーで「見える化」する
そこで登場するのが「蛍光マーカー」です。「蛍光マーカー」の使い方はいたって簡単。
チェックの終わった箇所を次々と塗りつぶしていく、これだけです。
これによって、どこまでチェックしたかが一目瞭然になります。
読んだ箇所に鉛筆でレ点や斜線などの方法もありますが、一番確実なのは読んだそばから塗りつぶすことです。
校正者にとっての必需品は、実は蛍光マーカー。
校正といえば赤ペンを思い浮かべるかもしれませんが、消費量は圧倒的に蛍光マーカーなのです。
紙を出力してチェックする
蛍光マーカーでチェックするためには、紙を出力する必要があります。
ここで紙を出力するのは面倒だな、と思わないでください。
パソコンの画面で見るより、出力した紙で読んだ方が間違いに気がつきやすいというメリットもあるのです。
TOPPANエッジ(株)の報告では、ディスプレーより紙媒体の方が情報を理解しやすい、という調査結果がでています。
‘‘ 同じ情報であっても紙媒体(反射光)とディスプレー(透過光)では脳は全く違う反応を示し、特に脳内の情報を理解しようとする箇所(前頭前皮質)の反応は紙媒体の方が強く、ディスプレーよりも紙媒体の方が情報を理解させるのに優れている ”
「紙媒体の方がディスプレーより理解できる」ダイレクトメールに関する脳科学実験で確認
同じ箇所は、まとめて一気にチェックする
チェックモレを防ぐもう一つの対策として、
「同じ箇所は、まとめて一気に見る」という方法もあります。
ダンクで実際におこったヒヤリハットの事例から、まとめて一気に見るコツをみていきましょう。
<某通販カタログの例>
洗濯機ラックの「円」が抜けてしまいました・・・
数字だけをみて単位を見落としてしまった例です。
「円」に限らず、ページ番号や商品合番など、あるのが当たり前…と思っている箇所で見落とすことは意外にも多いのです。
こんなときは、円や¥、注文番号などの同じ記号や数字は、一気にチェックすると間違いに気がつきやすくなります。
¥1,980
1,980
¥1.980
¥2,980
¥だけをチェックする
あー、¥が抜けてる!
BCV–001
BCV-002
BCV-003
BCU-004
商品型番だけをチェックする
わぁぁぁ、VがUになってる!
こうやってチェックすれば嫌でも間違いに気がつきます。
油断がならない同音異義語
誤字脱字にいくら注意していても、なかなか間違いに気がつかないのが同音異義語です。
そもそも他の同音異義語があることを知らないと疑問にも思いません。
以下は校正業界ではあるあるの同音異義語です。
<同音異義語の一例>
- 内蔵と内臓
- 端と橋と箸
- 保証と保障と補償
- 追求と追及と追究
- 受賞と受章
ある程度校正の数をこなしてくると「ここは危険。あの字になってないかな?」と謎のレーダーが発動するようになりますが、これはあくまでプロの話。
同音異義語の間違いはいつでもおこりえる、と思ってチェックするように意識してください。
間違えやすい同音異義語の例を以下の記事にまとめました。
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校正チェックツールを併用する
今回は誤字脱字をチェックする方法をまとめました。
完璧に指摘してくれる校正チェックツールがあれば苦労もないのでしょうけど、現時点ではお目にかかったことがありません。
もちろん、校正チェックツールも有益です。Wordの校閲機能に何度助けられたことか・・・
ポイントはデジタル(チェックツール)とアナログ(人の目)をうまく使い分けること。
ここは絶対にミスできない、というシーンでは今回紹介した方法を試してみてください。
多少手間はかかりますが、確実に誤字脱字を減らすことができると思います。
以下の記事では、デジタルツール(文章校正ツール)を使用したレポートをまとめました。
ツールの導入を考えている方には参考になると思います。
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ダンクでは、さまざまな業界・媒体の校正・校閲業務を請け負っています。
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\「まちがい」を無くしたい方へ/
この記事の監修者
- 2007年ダンク入社後、大手流通チラシの校正業務を担当。その後、大型カタログや金融商品等、さまざまな校正・校閲業務に携わる。
現在は編集・校閲グループリーダーとして、編集・校正業務はもちろん、クライアント対応やスタッフ育成、社内外に向けた校正ノウハウの発信にも注力する。
2024年からは宣伝会議の「校正・校閲力養成講座」講師を担当。
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